スギ花粉に対する舌下免疫療法について

<舌下免疫療法とは>

「舌下免疫療法」とはスギ花粉のエキス(舌下錠)を11回舌の下に入れて一分ほど保持することにより、花粉に対する耐性をつけさせることでスギ花粉症を治療するという治療法です。薬物療法などは基本的には起こってしまった症状を抑える対症療法ですが、舌下免疫療法は花粉症を完治させ得る可能性のある治療法です。(ただし全ての方に効果が見られるわけではありません。)

 

[手順]

 

まず初めに大切なことはスギ花粉症であることを明確に証明しなければなりません。採血などの検査で診断をします。
治療の手順としては、舌下錠を舌の下に1分間保持した後に飲み込みます。

まず最初の1週間は少量から開始し、「維持期」となる2週目からはずっと同じ量を維持します。これを11回、35年間続けます。
従来の注射による皮下接種法と比較して副作用の頻度も少なく、自宅治療が基本です。
また、心配な副作用であるアナフィラキシーの報告はほとんどありません。
この治療法は、厚生労働省の基準をクリアした医師のいる施設でのみ処方が可能となっております。

 

<注意事項>

スギ花粉症の治療であること
まず初めに大切なことはスギ花粉症であることを明確に証明しなければなりません。採血などの検査で診断をしますが、スギ花粉症の人にはハウスダスト等、他のアレルギーをもつ人も多くいます。このように他の抗原に対するアレルギーも併発している人は効果に限りがあることをご理解ください。

 

年単位の治療になります。
治療中はシーズン外でも毎日投与する必要があります。途中でさぼってから再び投与すると効果が得られないばかりでなく副反応がでやすいこともあるので、長期間治療を継続するという覚悟のもとで治療に臨んでください。

 

すべての人が完全に治るわけではありません。
1割の方が完治もしくはほぼ症状がなくなった
5割の方が症状が半分程度に
2割の方が症状が軽くなった
2割の方はほとんど変化なし、あるいは改善が見られなかった
全体的には、約7~8割に有効性が期待されます。従って、現時点では完治する治療というよりは薬を減らす治療、症状を軽くする治療とご理解ください。

 

症状が強ければスプレーや飲み薬を一緒に使ってください。
治療の効果は、スギ花粉の飛散量に大きく影響を受け、大量飛散年にはやや効果が落ち、逆に少量飛散年には効果が高まります。飛散が多い時には症状も出やすくなるので、我慢せずに適切な薬の併用をお勧めしています。ただし、免疫の機能に影響する薬には一部避けた方がよい薬もあります。点鼻薬に関しては、局所のみの使用となりますので、使っていただいて結構です。

以下の項目などに該当する方は舌下免疫療法の対象にならない場合があります。
5歳未満の小児
・高齢者
・悪性腫瘍治療中の方や免疫にかかわる疾患の方
・妊娠されている方
・気管支喘息等の症状がある方
・重症の口腔アレルギーの方
・抜歯後などの口腔内の術後、傷や炎症などがある方
・ステロイドや抗がん剤、β阻害薬使用など特定の薬を使用されている方 等

スギ花粉飛散時期は治療開始できません。
原則的に治療開始初期はスギ花粉の飛散時期を避けることが望ましいとされております。そのためできれば最初の治療開始は6月ごろから11月ごろまでにスタートされることをお勧めします。